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私の好きなトピックについて気ままにつづるブログです。洋楽の歌詞和訳や映画の話など。

歌詞和訳:心の空洞を埋めるもの Calvin Harris – Sweet Nothing

 

Calvin Harris - Sweet Nothing (2012)

 

You took my heart, and you held it in your mouth
And with the word, all my love came rushing out
And every whisper, it's the worst, emptied out by a single word
There is a hollow in me now

 あなたは私の心を奪い 口にくわえて持っていってしまった

あなたの言葉だけで 私の愛情はあふれ出してしまう

耳元で囁かれるたび もう最悪で たった一言で心が空っぽになってしまう

今の私にはぽっかり空いた空洞がある

So I'll put my faith in something unknown

I'm living on such sweet nothing
But I'm tired of hope with nothing to hold
I'm living on such sweet nothing

 私は何かよくわからないものを信じることにしたの

そんな上辺だけの虚しいものを支えに生きているの

何も持たずに期待することにもう疲れてしまった

そんな虚しいだけのものを支えに生きることにしたの

And it's hard to learn, and it's hard to love
When you're giving me such sweet nothing
Sweet nothing, sweet nothing
You're giving me such sweet nothing

そんな上辺だけの愛をくれてばかりだったから

私はいつまでたっても学ぶことができなくて 愛することもできなくて

かりそめの虚しいだけのものを

あなたは私にそんな空虚なものばかりをくれる

It isn't easy for me to let it go

'Cause I've swallowed every single word
And every whisper, every sigh, eats away at this heart of mine
And there is a hollow in me now

それを手放すのは簡単じゃないわ

だって、私はあなたのどの言葉も鵜呑みにしてきたから

その囁き その吐息が どれも私の心を侵食していった

今の私にはぽっかり空いた空洞がある

 And it's not enough
To tell me that you care
When, we both know the words are empty air

もうそれだけじゃ足りないの

口だけで私を心配してるって言っても

だって 私たちはもう、その言葉が空虚なことを知っているから

You give me nothing
Nothing

あなたは私に何も与えてはくれない

何も 

Uoh
Uoh
Uoh
Sweet, nothing

Uoh
Uoh
Uoh
Uoh

Sweet, nothing

 

 めちゃくちゃ好きな曲です!

2012年リリースと少し古いですが、Calvin Harrisによるグルーヴ感あるメロディとFlorence Welchのキレある歌声が心地よいです。

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Sweet Nothingの意味について「上辺だけの愛の言葉や態度」といったところでしょうか。正解はない気もします。別れた恋人と交わした愛の言葉も、今となっては虚しいだけ。そんな心情からくる言葉でしょうか。

曲全体としてはPVも含めて「愛してしまった人の上辺だけの愛の言葉を信じて、心の支えにしてもいたが、結局その言葉には大して意味なんかなくて最後には虚しいだけだった」ことに主人公の女性が気づく……ということなのかなと理解しました。

Welch扮する主人公の女性はナイトクラブでシンガーとして働いているが、彼女には暴力的な恋人がいた。自分からは離れられないほどに愛してしまっていたのか、もしくは束縛がひどくて逃げられなかったのか……そんな不健康な関係に陥ってしまっていた。Harrisの手を借り、別れることに成功するが、激しい痛みを伴う。彼女は、ステージ上でのたうち回るようにして声を張り上げながら、もうとっくに崩壊している関係の中で自分が信じていた「上辺だけの愛の言葉や態度(Sweet Nothing)」が最後に残した虚しさを、今となってはそれすら愛おしいのか、慈しむように歌い続ける。それが結局のところ、いかがわしいナイトクラブの至る所で交わされる相手の気を引くためだけの空虚な言葉と何も変わらなかったのだとしても。彼女は愛情をこめて歌い続ける。

という別れた直後の恋人同士の、生傷だらけの痛々しい状況がうまく演出されているPVだったのではないかと思いました。

HarrisはWelchの代わりにDV彼氏に報復するよう手配するという役どころ。彼はステージで歌う彼女を目で追い続ける。(PVの後、この二人はどうなっていくのかちょっと気になります。)

金で雇われたギャングが元カレを痛めつけるたびにステージ上の彼女は、まるで自分が受けた痛みのようにのたうち回る。一度は心から愛した人との別れはこうも痛みを伴うものなのでしょうか。

長年、共依存関係にあった恋人との別れを「傷口に癒着したばんそうこうをはがすような痛み」と表現していた人がいたことをふと思い出しました。なんとなくわかる気がしますね……。

どうしようもないクズで凶暴な一面があるが(女性にとって?)どこか心惹かれる魅力がある元恋人の役を演じたのはLeo Gregoryというイギリスの俳優さん。今後に期待です。

個人的に特によかったのがPVの冒頭、二人が別れた直後と思われる、まだ彼女との別れを消化しきれていないのか、無表情で席に座っている様子の彼のシーン。「いつも連れてきているかわいい子はどうしたんだ?」と店員に話しかけられるが無視して立ち去る。そのときの表情から「Sweet Nothingを向ける側の気持ち」とはどんなだろうと一瞬ですが想像しました。彼女のほうにもそんな元恋人を縛るSweet Nothing的なものがあったのかもしれない。(その直後に元恋人さんはHarrisに雇われたギャングに襲撃され訳が分からないまま殴られているようなのがちょっと気の毒ですが……。)

 

ここまでお読みいただいてありがとうございます!