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私の好きなトピックについて気ままにつづるブログです。洋楽の歌詞和訳や映画の話など。

【読んだ】ぼくはお金を使わずに生きることにした

 

 

内容は興味深い…お金を使わずに生きることができたらそんなにすてきなことはないな…と日々の労働のなかで一度でも思ったことがあるなら間違いなく琴線に触れるタイトルである。

お金さえなければすべての苦しみから解き放たれるのに。とは社会に出て働き始めた10年目に誰しもが思うことなのかもしれない。

そもそもこんなにじゃぶじゃぶと自然資源(特に石油)を使いまくって気候変動を引き起こしたり資源を巡って21世紀の今も世界では戦争が絶えない現実を前に人間社会がそもそも持続可能な代物なのか、地球の歴史からみればわずかの期間でしかない我々地上人類の王国。いまも誰も答えを見つけられないままだ。

それがいつとはわからないが石油資源はいつか尽きるし、21世紀になっても戦争を止められない人類は、滅亡に向かって進んでいるのかも知れない。地上のありとあらゆる生物が進化と絶滅を繰り返すように。人類の滅びの美学は貨幣経済の文脈で語られるのだろう。

という主語くそでかの感想を石油から作られたパソコンで書いている。本は興味深いが、著者は原始時代のような生活がしたいのか?と思いながら読んでいたが、どうもそうではないらしく、途中からお金を使わずに生きるというより移動にはヒッチハイク、食事は野草を採集したり周囲に助けてもらいながら生活を送るという今あるものでなんとかする路線なのがどうも想像の斜め上な感じ。

お金を使わない暮らしといっても太古のように物々交換で生活の需要を満たしていた人類が貨幣経済に移行した必然を考えると、その逆を現代の人間がやろうとするのは山奥にこもって霞を食って生きる生活が魅力的なライフスタイルとして万人に受け入れられないと無理じゃないか。わたしはとても無理です。カスミ以外に石油で輸送されたファストフードを食べたいしMacBookも使いたい。だめだ。ここにも欲にまみれた現代人が一人いる。

ただ現代人のほぼ全員が私有財産の増大にしか関心を向けていないとの指摘はそれはそうとしてやはり痛いものがある。「お金を使わずに生きる」=「サンタクロースはいないと周囲に公言して生きる」としていたくだりは両者とも人間が信じる幻想である点で一致していてなるほど言い得て妙。